更新:2022年6月13日
フォードvsフェラーリ(原題:Ford v. Ferrari)
「フォードvsフェラーリ」のあらすじ
1966年のル・マン24時間耐久レースで絶対王者フェラーリに挑んだフォードの男たちを描いたドラマ。ル・マンでの勝利を目指すフォード・モーター社から依頼を受けた、元レーサーのカーデザイナー、キャロル・シェルビーは、常勝チームのフェラーリ社に勝つため、フェラーリを超える新しい車の開発と優秀なドライバーの獲得を必要としていた。シェルビーは、破天荒なイギリス人レーサーのケン・マイルズに目をつけ、一部上層部からの反発を受けながらもマイルズをチームに引き入れる。限られた資金と時間の中、シェルビーとマイルズは力を合わせて数々の困難を乗り越えていくが……。
「フォードvsフェラーリ」監督・キャスト
監督 ジェームズ・マンゴールド
「3時10分決断の時」「ローガン」「ウルヴァリン」
マッド・デイモン(キャロル・シェルビー)
主な出演作 「グッドウィルハンティング」「オデッセイ」
クリスチャン・ベール(ケン・マイルズ)
主な出演作 「ダークナイト」「マネーショート」
主な出演作 「ウインド・リバー」「ボーダーライン」
「フォードvsフェラーリ」解説 ネタバレ注意
・キーワードは信頼
劇中で頻繁に「信じる」や「信頼」といったワードが出てきます。
生死を伴う危険なレースの世界ではドライバーとマシンとの信頼関係が重要になってきます。マシンの限界をギリギリまで引き出せるのはマシンのことをよく知りその性能を信頼できるかが大事なのです。
もちろん対人でも同じです。
シェルビーとマイルズは同じチームの監督とドライバーという関係でもあり苦楽をともにした親友です。
映画のラスト、フォードの副社長から1,2,3着用同時ゴールを提案されます。
それは、会社のためにペースを落としてゴールしろということです。
シェルビーはマイルズにそのことを伝えますがどうするかの判断はマイルズに委ねました。
経営者として、親会社のフォードの決定に逆らうのは今後の自身の会社の存続にも影響するかもしれません。ですが、レースは命がけで走り続けるドライバーのものというシェルビーの信念が伺えます。
・対比で見る「フォードvsフェラーリ」
タイトルの通り映画では様々な対比が見られます。
・会社 と 会社
・親会社 と 下請け
・夫 と 妻
・親 と 子
シェルビーとマイルズの性格は正反対ですがお互いに固い友情で結ばれています。
男の友情もこの映画の魅力です。
そして、マイルズ親子の描写がとても良いです。
シェルビーアメリカンのテストコースである広大な元滑走路でケンが息子のピーターにレースについて語るシーンやフランス出発前夜にサルト・サーキット説明をするシーンなどとても映画的で美しいシーンです。
このような対立構造の普遍的なテーマが車好きでなくてもこの映画の楽しめる要因となっています。
「フォードvsフェラーリ」を楽しむためのポイント
「フォードvsフェラーリ」の登場車種
フォード GT40 Mk.Ⅱ
By:SamH フォード・GT40 - Wikipedia
イングランドのレーシング企業のローラ・カーズの「ローラ・マーク6」をベースとして造られました。劇中で「イギリスから届いたばかりだ」というシェルビーノセリフはそのためです。
ル・マン参戦のためにMk.Ⅰではホモロゲーションモデルが作成され公道走行可能なモデルも存在しますが、Mk.ⅡはMk.Ⅰからボディーを強化し、シェルビーの7.0Lエンジンに変更し、完全レース仕様となりました。
ちなみにGT40のリメイクとして2005年から「フォードGT」が発売されています。
フェラーリ 330P3
By: - photo prise par Fabrice Pluchet フェラーリ・P - Wikipedia
フェラーリPシリーズでレースのためだけに作られたプロトタイプレーシングカーです。
66年のフェラーリは何かと悲運だったといいます。劇中でもリタイヤにおいやられます。当時イタリアでは労働者のストライキが勃発し自社製のギアボックスの製造が間に合わなかったことや、テスト走行であるシェイクダウンも十分に行えていなかったそうです。
シェルビー コブラ427
キャロルシェルビーによる自動車メーカー「シェルビー・アメリカン」によるスポーツカー。
イギリスのACカーズのACエースにフォード製のV8エンジンを積んだ2シーターオープンで、イギリスでシャーシが造られ、アメリカで組み立てられた。
大きく盛り上がった流線型のフェンダーと丸目ヘッドライトの間の大きなグリルが迫力満点です。
日本ではタレントの所ジョージさんが所有することでも有名ですね。ちなみに所さんのコブラの快適性を重視してエンジンはシボレー製に載せ替えているそうです。
フォード カントリー・スクワイア
出典:フォード・カントリー・スクワイア - Wikipedia
マイルズ夫妻が乗っていたフォードのステーションワゴン。
おそらく劇中に登場するのは3代目だと思われます。
外装のウッドパネルがなんとも古き良きアメリカのステーションで渋いですね。
にしても超ロングで日本で乗るにはデカすぎますね。
2022年今年のル・マンは6月11日
昨年の第89回ル・マン24時間耐久レースは8月21〜22日に開催されました。もともと6月12日~6月13日に開催予定でしたが、衛生対策を徹底しての観客動員の可能性を見出すために延期となりました。
そして今年は、通常通り6月11日、12日での開催となるとのことです。
トヨタ ルマン5連覇!
そして、トヨタがルマンで5連覇しました!
5連勝は2010年~2014年のアウディ以来とのことです。
トヨタの不敗神話の始まりでしょうか!?
注目車種はトヨタGAZOO Racing GR010hybrid
トヨタは2018年にLMP1クラスで日本勢としてはマツダの787B以来、33年ぶりにTS050で総合優勝を果たしました。
その後TS050は3連覇を果たし、レギュレーション変更によりその活動を終えました。
そして2021年のル・マンでは新レギュレーションのLMHあわせた新車両「GR010hybrid」で参戦します。
ドライバーは7号車にマイク・コンウェイ、小林可夢偉、ホセ・マリア・ロペス、8号車にセバスチャン・ブエミ、中嶋一貴、ブレンドン・ハートレーが搭乗します。
このレースで培われたハイブリッドシステムが今後のトヨタ車に応用されています。
もちろん安全性なども。技術進歩のためにもモータースポーツは自動車メーカーにとってとても重要な活動の一つとなっています。
最後に
レースの描写が細かく、普段マニュアル車を運転する自分にはクラッチやシフトチェンジの操作がとても良かったです。
レース終盤マイルズが同時ゴールを決意したときにギアを3速に落とす手は、その決意が見て取れました。
フルブレーキに入る前に優しくチョンとブレーキを踏むなど細かい描写も良かったです。
命を削りスピードを求める熱い男たちの映画!
その熱は、レーサーではない自分たちにも伝わります。
ぜひ今年のル・マンを観戦する前にも視聴したい作品でした。
2021年4月現在、無料動画配信を行っているサービスはないため、視聴にはレンタルかディスクの購入が必要です。
映像特典も豊富なディスク版での視聴がおすすめですよ。