「なぁ、あんちゃん。チャカとだんびらどっちが強いと思う?」
夜のコンビニで金髪オールバックの佐藤浩市が絞り出すような声で放った一言、
youtubeでそのシーンを観て衝撃を受けました。
ずっと見たかった本作「さらば愛しき人よ」ですが、サブスク配信もなくなかなか観れずにいました。
しかし、U-NEXTで配信されたということでさっそく鑑賞いたしました。
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さらば愛しき人よ(1987年)
1987年製作/103分/日本
配給:松竹
あらすじ
修史(郷ひろみ)は標的を待っていた。やがて、闘竜会の会長・木内剛三(安岡力也)が、愛人のアパートから現われる。修史の銃が一瞬にしてボディガードを倒し、木内に向けられる。懸命に命乞いする木内。とどめを刺さず、修史は銃をしまい、弟分・哲夫(木村一八)の車で去る。早坂修史は暴力団大東連合の若手幹部だ。会長の新田(高品格)は修史に目をかけているが、闘竜会との和平工作をすすめる兄貴分の加東(柄本明)は、彼をけむたがっていた。そんな折、都心の一流ホテルで、新田の娘の結婚披露宴が行なわれた。そこで修史は、ひとりのメイドに声をかけられた。女の名は海老沢ひとみ(石原真理子)。幼ななじみの、忘れえぬ女性だ。心に反し、修史は「人違いです」と答え、その場を去る。その後、闘竜会の報復をかわすため、修史は愛人のホステス・由美子(南條玲子)のマンションに身を寄せる。しかし、10年ぶりの再会に心揺れる修史の足は、いつしかひとみのもとへ向かっていた。早朝まで語り明かす二人は、木内の弟・義政(佐藤浩市)の雇ったヒットマン・間柴(嶋大輔)がつけ狙っていることを知らなかった。突然の銃声。一命をとりとめたものの、ひとみは脳内出血のため、視力を失った。由美子も間柴の拷問から逃れるため自ら命を断った。押えに押えていた激情が、修史を包み込む。
スタッフ・キャスト
監督:原田眞人
脚本:原田眞人
製作:奥山和由
出演者:郷ひろみ
石原真理
嶋大輔
内藤陳
安岡力也
さらば愛しき人よ
監督は「ヘルドッグス」「日本のいちばん長い日」の原田眞人。製作は「ソナチネ」「GONINシリーズ」の奥山和由。主演は2022年も紅白歌合戦に出演した郷ひろみです。
若かりし佐藤浩市や柄本明、笹野高史など現在でも第一線で活躍する俳優たちが一筋縄ではいかないヤクザ者を好演しています。
youtubeの切り抜き動画が独り歩きしているような映画だと思うのですが、
記事冒頭のように印象に残るシーンが多く粗削りながらも記憶に残る作品になっていると感じます。
安岡力也を団地で追い詰めるシーンやラスト温泉旅館の襲撃シーンなど暴力的シーンから少年時代の思い出や埋め立て地のバーのドラマチックなシーンなど、
修史(郷ひろみ)がヤクザとして行動するシーンと、一人の男(堅気)として行動するシーンのコントラストが非常にいいですよね。
内藤陳さん演じるstorm fieldのマスターが渋い
埋め立てによる再開発の進む埠頭にポツンとあるコンテナで作られたBar「StormField」のオーナーがまた渋くて良く。このシーンが一番好きかもしれません。
内藤陳さん演じるマスターも以前はその道の人だったようで抗争の代償なのか下半身不随で電動の車いすに乗っています。
いきなりハードボイルドな世界観になり、ロバートピーパーカーや安部譲二と小説家の名前も飛び出すセリフは本好きでハードボイルな内藤陳さんそのものだったように感じます。
慣れた手つきでリボルバーと取り出す感じは「このオヤジ只者ではないな」と思わせる説得力がありました。
みんな障害を背負っていく
映画を観ていて思ったのは登場人物たちがどんどん体に障害を負っていくことです。
安岡力も足を撃たれ、柄本明も尻を撃たれ上手く座れず足を投げ出していました。
ヒロインの石原真理子も失明していました。
そもそも佐藤浩市も喉を切られた後遺症であんな声になっているようでしたし、バーのマスターも車いすでした。
極道になるということはどういうことなのかを暗示した表現にも捉えられました。
映画が公開された1987年といえば暴対法が施行される4年前、抗争が激化し世間からの非難も強く警察の取り締まりも一層強くなっていく時代でした。
そんな時代を写した映画でもあったのかなんてことも思いました。
フォアローゼズのハイボールに込められた意味とは
修史とひとみが語り明かしたバーで出されるウイスキーはバーボンウイスキーの「フォアローゼズ」でした。
バックバーに並べられたボトルやフォアローゼズの箱も映っていましたね。
このフォアローゼズというバーボンにはお洒落な逸話があります。
それはある舞踏会でのこと。
フォアローゼズの生みの親ポール・ジョーンズJrは、絶世の美女と出会います。
一目で恋に落ちたポールは、迷わずプロポーズしました。
でも、彼女は彼にこう答えたのです。
「どうか次の舞踏会までお待ちください。
プロポーズをお受けするなら、薔薇のコサージュをつけてまいります。」
そして約束の舞踏会の夜。
彼女は4輪の真紅の薔薇を胸に、彼の前に現れたのでした。
愛が実った素晴らしい瞬間。
そんな素敵なエピソードから、「フォアローゼズ」と名づけられ、
ラベルにはふたりを結んだ真紅ののコサージュが描かれたと言われています。
映画内にも薔薇の花束のエピソードがありました。
また、映画ラストひとみが来ていた服の色は上下真紅でした。
修史とひとみが結ばれたという粋な演出にでしたね。
皆さんいかがだったでしょうか?
作品の完成度は粗削りなところもあるのですが、映画的な演出で記憶に残るシーンも多く、個人的には好きな作品でした。
もしこの記事を読んで気になった方は、
チャカとだんびら。どちらが勝ったのか
ぜひ映画を鑑賞して結果を見届けてください。
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