今回レビューする映画は久々のアニメ作品「アイの歌声を聴かせて」です。
2021年の作品で、AIが日常生活に欠かせないものになった近未来の日本が舞台となっています。
SFとしてもラブコメそしてミュージカルとして非常に楽しめる傑作でした。これは観ないと分からない!
アニメだからといって観ないのはそんな作品なのでレビューを観て気になった方は是非観てみてください。
では以下レビューです。
アイの歌声を聴かせて
2021年製作/108分/G/日本
配給:松竹
あらすじ
景部市高等学校に転入してきたシオンは、登校初日、クラスで孤立しているサトミに「私がしあわせにしてあげる!」と話しかけ、ミュージカルさながらに歌い出す。勉強も運動も得意で底抜けの明るさを持つシオンはクラスの人気者になるが、予測不能な行動で周囲を大騒動に巻き込んでしまう。一途にサトミのしあわせを願うシオンの歌声は、孤独だったサトミに変化をもたらし、いつしかクラスメイトたちの心も動かしていく。
スタッフ・キャスト
監督:吉浦康裕
原作:吉浦康裕
脚本:吉浦康裕
出演:土屋太鳳
咲妃みゆ
アイの歌声を聴かせて レビュー解説考察
景部市というカンパニータウンが舞台の本作。主人公たちが通う景部市高等学校の生徒たちの親の大抵は大企業「星間エレクトロニクス」に従事しており、景部市はAIを研究する実験都市でもあります。
自動運転されたバスや田植えするロボットなど街にはロボットたちの姿が散見され、映画を観始めて初っ端この世界観に感心してしまったのです。
ちょっと近未来の日常の描き方が秀逸
主人公の暮らす自宅は今の日本の住宅と何ら変わりない家、というより40年~50年前の日本家屋といった方が想像がつきやすい家なのですが、スマートスピーカーがカーテンを開けたり、家事を手伝ったり現代(2021年)の生活から数年後にありえそうな技術感なのが楽しく、Googlenestやアレクサが進化するとこうなるのかと想像できる世界観なのがとても楽しいのです。
自動運転するバスは従来のバスを改造して作られたもので、今大量に存在するバスをすべて新しものに変えるより既存のバスを改造した方がコスト的にもよく、これもありえそうな事です。
また、田植えするロボットもなかなか面白い発想だと思います。おそらく考察するに田植えするだけなら既存の田植え機やコンバインを自動化するだけでいいのだと思うのですが、ロボットにすると人間が手作業で行えることはすべてロボットに置き換えることができるからあえて田植えをロボットに行わせていたのだと考えられるのです。
この辺のロボットやAIの描き方がリアルで、これからすぐ先の未来を見せてくれます。
ミュージカル演出さえもリアリティを感じさせる
本作はミュージカル映画としての側面もあります。
AIであるシオンが突然歌いだし、ミュージカルシーンが始まるのですが、ミュージカルシーンになると急に舞台チックになってしまうところなのですが本作はずっと地続きなのです。
どういう事かと言うと、ミュージカル映画は突然歌いだすという不自然さがありますが、ポンコツAIが突飛に歌いだすという行為は普通の人間ならしないけどAIだから歌いだしてもおかしくないよねという妙な納得感があるのです。
土屋太鳳の歌に感動
俳優たちの声もとても良いです。声優を本業としていない方が声を当てた場合って当たりハズレがあるのですが、本作の役者たちはみな素晴らしいです。
とくに土屋太鳳の歌がよく序盤歌う「ユー・ニード・ア・フレンド ~あなたには友達が要る~」の歌声はボーカロイドのような歌声なのも演出的に凝っていて、物語が進むにつれてその歌声がどんどん人間が歌うようにリアルになっていく感じも素晴らしいです。
気持ちい伏線回収
AIであるシオンの転校初日いきなり、主人公のサトミに「いま幸せ?」と問いかけます。
この伏線回収がお見事で感動しました。
この感動は是非映画を観て感じてほしいのですが、この伏線が映画の規模感を大きく膨らませています。
また、なぜムーンプリンセスなのかを考えながら映画を観るといいですよ。
なぜシオンという名前なのか考察
AIの芦森詩音はなぜシオンという名前なのでしょうか?
名前の漢字は”詩音”ですが”紫苑”とも書けます。
そして、紫苑とはキク科の白い花で花言葉は「君を忘れず」
もう映画を観た方ならピンと来るはずです。
シオンはずっとサトミを思っていたと言う事です。なかなかのネーミングセンスですね。
また、苗字の芦森はロボット三原則のアイザック・アシモフをモジったものと思われます。
【聖地巡礼】景部市のモデルとなった都市はどこ?
景部市のモデルは主に、
この2カ所がモデルになっています。
映画終盤、日本列島が映るシーンで佐渡島が舞台となっていることが確認できます。
バス停や海岸、通学路などがモデルになっているそうです。
有志の方がまとめてくださったグーグルマップがあるので聖地巡礼にご活用ください。
アイの歌声を聴かせて聖地巡礼マップ - Google マイマップ
また、主人公たちが通う景部市高等学校は埼玉県所沢市にある埼玉県立芸術総合高等学校がモデルになっています。
こちらはエンドロールにクレジットされています。
流石に学校なので聖地巡礼は厳しいですが、在校生やOBの方は誇らしいですね。
コミック版もございます
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