映画「スーパーサイズミー2:ホーリーチキン」レビュー 知っていて損はない健康ハロー効果
スーパーサイズ・ミー:ホーリーチキン(原題:Super Size Me 2: Holy Chicken)
今回はスーパーサイズ・ミー:ホーリーチキンです。
スーパーサイズミーの続編ということで、アマゾンプライムビデオで視聴しました。
アメリカのお話ですが、我々日本人も他人事とは言えない話でした。
こんな方におススメ
・ファーストフードをやめたいけどやめられない方
・アメリカのファーストフード事情を知りたい方
・前作を見ている方
スーパーサイズミー2のあらすじ
30日間ファーストフードだけを食べ続ける実験を収めたドキュメンタリー映画「スーパーサイズ・ミー」(2004年)の続編。
今回は、モーガン・スパーロック自らファーストフード店を開きファストフード業界とビッグチキンの実態に迫る。
スーパーサイズミー2のスタッフ・キャスト
監督:モーガン・スパーロック
出演:モーガン・スパーロック
スーパーサイズミー レビュー
前作は、そんなにファーストフードばかり食べていたら体に悪いに決まってると分かりきっているから、体を張った実験のわりに「そうなるだろうね」とそこまで衝撃でもなかったのですが、今作は前作から13年後ファーストフード業界がどう変わったのかを調査しさらに自らファーストフード店を立ち上げるということで、前作より面白いです。
・ 日常生活にあふれる健康ハーロー効果
緑色のパッケージは自然やオーガニックを連想させヘルシーなのもに感じます。さらに、農薬を使わずに有機栽培をしましたと言われれば、少し他より高くても買ってしまいそうです。
こういった現象をハロー効果といいます。
ハロー効果(ハローこうか、英語: halo effect)とは社会心理学の用語で、ある対象を評価する時に、それが持つ顕著な特徴に引きずられて他の特徴についての評価が歪められる(認知バイアス)現象のこと。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%AD%E3%83%BC%E5%8A%B9%E6%9E%9C
前作のスーパーサイズ・ミーからファーストフード業界は変化しました。
映画の影響があったということでしょう。
ですが、実態は10年前と何も変わっていなかったのです。
では何が変わったのかというと、
いかにもな赤と黄色のデザインの店舗からページュと緑のナチュラルなデザインの店舗に変わり、店内には広大な農場の写真や野菜の写真、健康そうな単語が書かれた壁紙
メニューも「フライド」チキンではなく「クリスピー」チキンにかわり梱包も紙の箱に変わりました。
健康的な食を目指しているように見えますが、全てハロー効果を狙ったもので、実際に提供される商品は何も変わっていません。
このからくりは是非本編を見て知ってほしいのですが、
日本のマ○クも数年前から新店舗やリニューアルした店舗はアメリカの店舗同様、映画内で出てくるデザインに変わっていますよね。
近所のマ○クもそんな感じです、健康志向の昨今企業も変わるんだなあとしか思っていなかったのですが、日本に住む我々も食品表示などよく調べて理解した上で購入しなければなと感じました。
・ビックチキン 養鶏業の闇
ファーストフードに欠かせないチキン(鶏)の生産はとても重要ですが、その生産仕組みもかなり闇深いものとなっています。
各養鶏場は出荷ごとにランク付けされそのランクの順位で売り上げが決まります。
しかも、そのランクは親会社がいくらでも操作可能なもので1位から次の週には最下位なんてこともあるそうです。
養鶏業者は機械の導入などで借金を背負わされ、「生かさぬよう、殺さぬよう」状態でギリギリの経営を強いられています。
映画内でモーガンに協力した養鶏家が雛の供給を止められてしまうほどで、業界の闇がうかがえます。
その後一家がどうなったのか気になるところです。
最後に ~知らないは罪~
ドキュメンタリーとしてとても面白く、内容は深刻なテーマなのですがところどころトゥーン調の鶏のアニメーションがPOPで楽しく社会科見学できる映画でした。
こういった食品業界の闇は日本でもあり得ることだと思います。
社会を知る意味でご視聴お勧めします。
前作のスーパーサイズミーもあわせてどうぞ
農業から食品まで食に対する様々な問題を追った映画です。
「ファーストフードが世界を食い尽くす」の著者エリック・シュローサーがプロデュース
日本でも食品添加物は深刻な問題です
映画「JUNK HEAD」レビュー ストップモーションアニメの記念碑的作品【プライムビデオで無料配信開始!】
更新:2022年4月1日
JUNK HEAD
今回はSFストップモーションアニメ「JUNK HEAD」です。
堀貴秀監督が撮影、パペットの作成、編集、VFX、音楽とすべて一から手作りした魂のこもった作品でした。
すべて独学でここまで作り上げたクリエーター魂に感服いたしました。
ぜひ劇場で見てほしい作品です。
2022年4月現在アマゾンプライムビデオで無料配信中
2022年4月現在アマゾンプライムビデオにて映画「JUNK HEAD」が無料配信中です。
より一層気軽に視聴することが可能になりました。
プライムビデオをまだ利用したことない方は今なら30日間無料体験実施中なのでこの機会にお試し入会して「JUNK HEAD」を視聴してみてはいかがでしょうか?
ストップモーションアニメならこちらもおすすめです。
will-oishiiseikatsu.hatenablog.com
こんな方におススメです
・工場、廃墟フェチの方
・ストップモーションアニメ好きの方
JUNK HEADのあらすじ
環境破壊が止まらず、もはや地上は住めないほど汚染された。人類は地下開発を目指し、その労働力として人工生命体マリガンを創造する。ところが、自我に目覚めたマリガンが人類に反乱、地下を乗っ取ってしまう。それから1600年──遺伝子操作により永遠と言える命を得た人類は、その代償として生殖能力を失った。そんな人類に新種のウイルスが襲いかかり、人口の30%が失われる。絶滅の危機に瀕した人類は、独自に進化していたマリガンの調査を開始。政府が募集した地下調査員に、生徒が激減したダンス講師の“主人公”が名乗りを上げる。地下へと潜入し、〈死〉と隣り合わせになることで命を実感した主人公は、マリガンたちと協力して人類再生の道を探る。今、広大な地下世界の迷宮で、クセ者ぞろいのマリガンとの奇想天外な冒険が始まる!
JUNK HEADスタッフ・キャスト
監督:堀 貴秀
原案:堀 貴秀
キャラクターデザイン:堀 貴秀
編集:堀 貴秀
声優:堀 貴秀
JUNK HEADレビュー
上映館数が限られるなか、地元のミニシアターで上映されるとの事で早速劇場で観てきました。
この映画、宇多丸師匠もラジオで仰ってましたが、数年後または続編が出たときに劇場でリアルタイムで見れた事を自慢できるような作品でした。
・堀貴秀という創造主
マリガンたちに神と崇められる主人公のように、複雑で独特の世界観を創り上げた堀貴秀さんはもはや創造の神と言ってもいいのではないかというほど緻密で洗練された世界観に心を鷲掴みにされました。
地下都市の様子はコンクリートの汚れた壁に天井には蛍光灯ではなく電球が灯り、配管や電線が張り巡らされている通路や
錆びたトタン屋根のバラックなど、背景だけでもう永遠と見ていられる世界観で、この味わいはCGではなくミニチュアの実写だからこそのリアリティでストップモーションアニメのいいところを100%引き出せています。
どこまでも広大に広がる地下都市の規模感もとてもいいです。
迷路のように続く通路や天高く続く階段など限られたセットの中でものすごく広い世界を構築しています。横と広がりのみならず縦の広がりが強調され主人公たちがとてもちっぽけな存在に見え、この冒険はどこまで続くのだろうと、果てしない旅を感じさせる地下世界でした。
主人公の人間やマリガンたちが日本語を話さないというのも面白いです。
日本語だとどうしても演技力の面でキャラクターの演じ分けが難しいとのことで、独自の言語をしゃべらせたとのことですが、異世界感がさらに増していいです。
ところどころ日本語でも意味が通じるような会話があり遊び心が随所に見られます。
・マリガン≒哺乳類
不死を得た人類は引き換えに生殖機能を失い、ウイルスによる人口減少を引き留めるために独自の進化を遂げるマリガンの生態系を調査するのですが、
地下世界は弱肉強食の食うか食われるかの世界で、スチームパンクな世界観がインパクト強すぎて気づきにくいですがまさしく我々が住む地球の生態系です。
弱い生物は強い生物に食べられ、食べたものは糞となり排出される。もちろん怪我をすれば赤い血が流れます。
なかなかグロテスクな見た目ですがマリガンたちは人間そのものです。
いずれ迎えるシンギュラリティに対してのアンチテーゼなのではないでしょうか?
・パンフレットは買ったほうがいい
各地でパンフレットが売り切れとのことですが、パンフレットは買えるなら買っておいて損はない出来です。
細かい設定資料から制作の裏側まで54ページのボリューム大です。
作品をより深く知るためというのもありますが、やはり早く続編が見たいので少しでも製作費の足しになればという思いで買うのもいいのではないでしょうか?
もちろん買って損はないので。
続編を2~3年で完成させるには、予算的に4億円位は最低必要。
— YAMIKEN-STUDIO (@YAMIKEN123) April 28, 2021
数千万円でまた少人数体制ってのも有りだけど5年以上はかかる。
思ったけどどの道続編作るからクラファン利用して手数料取られるだけ無駄だと気付いた。
5月中にはそういった活動始めるので皆さん宜しく!!
日本の映画界を盛り上げるために応援したいですね。
GAGAのオンラインストアでも購入可能です。買い逃した方はぜひ
堀監督が影響を受けた作品です。
映画「ホムンクルス」レビュー 実写化不可能といわれたカルト漫画の映画化
ホムンクルス
今回は映画ホムンクルスです。
「殺し屋1」「のぞき屋」の漫画家、山本英夫の「ホムンクルス」の実写映画化
監督を務めるのは「呪怨」「犬鳴村」などのJホラーの巨匠清水崇。
不気味なホムンクルスの世界観が上手く表現されていました。
こんな方にオススメ
・奇怪な世界観が好きな方
・綾野剛好きの方
・原作ファンの方
ホムンクルスのあらすじ
一流ホテルとホームレスが溢れる公園の狭間で車上生活を送る名越進。過去の記憶も感情も失い、社会から孤立していた。そこに突然、奇抜なファッションに身を包んだ研修医・伊藤学が目の前に現れる。
「頭蓋骨に穴を空けさせて欲しい」
「あなたじゃなきゃ、ダメなんです」
突然の要求に戸惑う名越だったが、 “生きる理由”を与えるという伊藤の言葉に動かされ第六感が芽生えると言われるその手術<トレパネーション>を受けることに。術後、名越が右目を手で覆い、左目だけで見たのは、人間が異様な姿に変貌した世界だった。その現象を「他人の深層心理が、視覚化されて見えている」と説く伊藤。彼はその異形をホムンクルスと名付けた―。ホムンクルスと化した人々の心の闇と対峙していく中で、名越の過去が徐々に紐解かれ、自らの失った記憶と向き合うことに。果たして名越が見てしまったものは、真実なのか、脳が作り出した虚像の世界なのか?取り戻した記憶に隠された衝撃の結末とは?!
ホムンクルスのスタッフキャスト
監督:清水崇
出演:綾野剛 (名越)
成田凌 (伊藤)
岸井ゆきの (謎の女)
石井杏奈 (女子高生)
内野聖陽 (組長)
ホムンクルス レビュー
原作漫画が好きでホムンクルスたちをどう実写化するか気になっていたのですが、かなりの完成度で実写化されておりCGも違和感なくなんとも言えない不気味な感じが映画全体を覆っており良かったです。
・綾野剛と成田凌の凄み
主人公の名越役の綾野剛と伊藤役の成田凌はさすがの演技でした。
綾野剛以外考えられないほどハマっていたのではないかと思います。世捨て人な役がやっぱり上手いですね。
また、伊藤役の成田凌も迫真の演技でした。序盤は原作のイメージとかけ離れてるなと思いながら見ていたのですが、ウィッグを外しメイクとると普通の研修医に変わるギャップはかなり原作と同じようにインパクトがありましたし、マッドサイエンティスト感が最後まで暴走していました。
序盤トレパネーションを行うシーンが印象的でした。
ドリルでゴリゴリ頭蓋骨を削るシーンは見ているこちらも歯を食いしばってしまうほど痛々しく、音も加わる映画だからこその体験でさすが清水崇監督です。
・原作ファンは納得のいく出来かどうか?
15巻もある原作を2時間の映画にまとめるためにかなりストーリーは変わっているのですが、個人的にはよくまとめられた脚本だと思いますができれば、ネットフリックスでの配信なら10話ほどのドラマにして、漫画版のエピローグの気味悪さと衝撃を味わってみたかったです。
ですが、単品作品としてとても楽しめた実写化だったので原作ファンの方は是非鑑賞をおすすめします。
映画から入った人はぜひ原作漫画を読むとより楽しめますよ
三池崇監督による殺し屋1の実写映画です。タイトルシーンがなかなかの問題作
アマンダ・フィールディングのポスターが映画でも印象的でした