映画「ドライヴ」レビュー解説考察 サソリに込められた意味から登場車種まで
今回の映画はニコラス・ウィンディング・レフン監督を世に知らしめた映画「ドライヴ」です。
主演は「ラ・ラ・ランド」「ブレードランナー2049」のライアン・ゴズリングで、強盗の逃走を請け負う凄腕のドライバーを描いた本作。
今回の記事では「ドライヴ」のレビューや見どころ、作品をより深く楽しむための深堀解説考察もしていきます。
ドライヴ(2011年)
2011年製作/100分/R15+/アメリカ
原題:Drive
配給:クロックワークス
あらすじ
昼はハリウッド映画のカースタントマン、夜は強盗の逃走を請け負う運転手として働く孤高の天才ドライバーが、愛する女性を守るため裏社会を相手に命がけの戦いを繰り広げる姿を描いたクライムサスペンス。
スタッフ・キャスト
原作:ジェームズ・サリス
脚本:ホセイン・アミニ
出演: ライアン・ゴズリング
クリスティーナ・ヘンドリックス
ドライヴ レビュー
初め見たときに、滅茶苦茶カッコいい映画だなと思ったのが率直な感想です。
昼間はカースタントマン、夜は裏のドライバーという男の子なら一度はあこがれる「バットマン」はたまた「静かなるドン」のような二面性のある設定が非常にハードボイルドで堪らないのです。
少ないセリフで物語る
本作はセリフが少なく、出来上がった台本からセリフを削って今の形になったそうで、結果映画としてとても深みのある出来になっていると思います。
ライアンの口数が少なく、内に何かを秘めている感じのいで立ちは、多弁なキャラクターではあまりにも深みがなかったのではないでしょうか?
セリフが少ないからこそ役者の表情を写したショットが生えるのです。
本作はそんな役者たちの細かな演技にも注目して観てみてください。
NWR独特の色彩
レフン監督は自身の体質もあってネオン色が強調された色彩が特徴です。
本作のタイトルもショッキングピンクでしたね。
この独特の色彩が夜の街並みにマッチしています。
ネオンサインや深夜まで営業しているレストランの明かり、アスファルトの水たまりなど、どこを切り取ってもカッコいいです。
バイオレンス描写だけではなく芸術的な視点でも楽しめます。
叶わない恋の行方
この映画の最大の見どころは、ライアン演じるドライバーとキャリー・マリガン演じるヒロインのアイリーンとの恋模様です。
アパートの隣の部屋に住むアイリーンは服役する夫を待つ人妻で息子が一人いる母親でもあります。
そんな彼女に少しづつ心を寄せるライアンの淡い恋心と実ることのない恋に心揺さぶられます。
裏の世界でしか本当の自分でしかいられないライアンが彼女のために取った行動はまさしく「疾走する純愛」で、この美学がなんともカッコよくこの映画に惹かれる所以なのかもしれません。
総評
激しいカーチェイスアクションから、目を背けたくなるようなバイオレンス、美しい音楽と情景、はかない恋これらが絶妙にマッチしたハードボイルドカーアクションでした。
レフン監督作品入門としてもおススメの一作です。
ドライヴ 解説考察
ここからは「ドライヴ」をより深く楽しむために作品を深堀していきます。
ネタバレを含みますので未見の方はご注意ください。
【結末】ラスト主人公はどうなった?
強盗で得た大金は黒幕であるバーニーのものだったと分かり、主人公は金を返す代わりにアイリーンの安全を保証するように要求します。
そして、取引の瞬間、交渉に乗る気がなかったバーニーがナイフで刺します。
応戦するように主人公もナイフでバーニーの首元にナイフを刺し、
そして、生き残ったのは主人公でした。
バックでCollege & Electric Youthの「A Real Hero」が流れる中、主人公は愛車のシボレーマリブでその場を立ち去ります。
彼女のもとには戻らず新たな人生を歩むために旅立つのでした。
ジャケットのサソリの意味
ライアンが来ている背中にサソリの刺繍があるサテンのジャケットにはどういった意味があるのでしょうか?
映画内で、「サソリとカエル話は知っているか?」というようなセリフがあります。
まるで、裏の世界でしか生きることのできないドライバーの性を暗示しているような内容ですね。
悪人は悪人という単純な考えよりも、もっとも本能的で純粋さを表すエピソードのように感じました。
また、映画ラストのバーニーとのナイフでの戦いはお互いサソリ同士が棘を刺しあうかのようでした。
エレベーター内でのショッキングなシーンがありますが、ここで主人公は自らの足を使って相手を踏み殺します。
銃(道具)を使わず自分の肉体という凶器で相手を殺したというのも重要な暗示のように思えます。
原作はジェイムズ・サリスのDrive
本作はジェイムズ・サリスの小説「Drive」が原作です。
原作小説では主人公の幼少期も描かれより深い人物描写がなされています。
さらに彼らのその後を描いた続編も出版されています。
レフン監督とキャリーマリガンと同居
ロサンゼルスでの撮影中、レフン監督が借りていたアパートは俳優陣やスタッフたちのたまり場だったそうで、脚本のホセイン・アミニやキャリー・マリガンも同居していたそうです。
編集や脚本など制作の一部もその部屋で行われ、スタッフ、キャストが意見を出し合いながら制作されたそうです。
登場車種
最後に車好きのために登場車種をまとめてみました。
①シボレー・インパラ(9代目)
映画冒頭のカーチェイスで使用された車です。
「カリフォルニアじゃそこら中に走っている」「絶対に目立つことのない」と言われるほどアメリカではポピュラーな大衆車です。
②シボレー・シェベル・マリブSS 73年式
主人公のドライバーの愛車です。
73年式でダッシュボードの3連メーターがカッコよかったですね。
③フォード・マスタング5代目
画像引用元:フォード・マスタング - Wikipedia
最悪の事態を招いた質屋の強盗で使われた車でした。
アメ車を代表するマッスルカーですね。
④クライスラー300(初代)
画像引用元:クライスラー・300 - Wikipedia
質屋の強盗の後に激しいカーチェスを繰り広げた車です。
マスタングGTとタメを張るほどだったので、おそらく5.8リットルV型8気筒OHVヘミエンジンのモデルだったかもしれませんね。
そのほかにもシボレーのナスカーや主人公が務める整備工場内にもたくさんのアメ車が登場していました。
アメ車好きにもたまらない映画ですね。
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