はじめに
皆さん人生において捨てれない荷物って意外と多くないですか?
なかなか捨てれないものばかりで部屋がどんどん埋まっていませんか?
捨てれない物とは物ばかりではないですよね。
人間関係や仕事付き合いなんかもなかなか損切できないなんてことないですか?
今回紹介する映画はそんな映画で、監督は「グランドブタペストホテル」や「フレンチディスパッチ別冊」のウェス・アンダーソン監督。
こちらの映画、インドを旅する3兄弟が主人公のロードムービーとなっております。
ダージリン急行
2007年製作/91分/アメリカ
原題:The Darjeeling Limited
配給:20世紀フォックス映画
あらすじ
父の死がきっかけで疎遠になっていたホイットマン3兄弟だったが、長男フランシスの呼びかけで次男ピーター、三男ジャックの3人が揃い、インド横断の列車旅行に出る。しかし、そんな彼らには予想外の出来事が待ち受けていて……。
スタッフ・キャスト
監督:ウェス・アンダーソン
脚本:ウェス・アンダーソン
製作総指揮:スティーブン・レイルズ
出演:オーウェン・ウィルソン
エイドリアン・ブロディ
ジェイソン・シュワルツマン
アンジェリカ・ヒューストン
アマラ・カラン
ワリス・アルワリア
ナタリー・ポートマン
ビル・マーレイ
映画「ダージリン急行」解説
まさしくウェス・アンダーソンの世界で、画作りや色彩がとても美しい映画になっています。映画なのですが絵本を読んでいるかのような世界観が観ていてとても楽しいです。
好き嫌い好みは分かれるでしょうが、好きの人にはたまらない世界観です。
人生という旅において背負う荷物は軽い方がいい
父に死を境に疎遠になっていた3兄弟が、長男のフランシス(オーウェン・ウィルソン)の呼びかけで列車でのインド旅行を行います。
3人は父の死をまだ引きずっているのか、父のイニシャルが書かれた大量のルイヴィトンのスーツケースを持ち旅を続けます。
作品内でこのスーツケースはかなり印象的に描かれていますが父という存在にいまだに縛られているように感じます。
特にピーターが使っていた父のベルトは縛り付けるという意味にもなります。
そして、3兄弟自身もいろいろ抱えているようです。
長男のフランシスはバイク事故で瀕死の重傷を負い、顔面のコルセットが外せずにいます。次男のピーターは妻との離婚を考えていながら妻は妊娠7か月目という状況。そして、三男のジャックは失恋というショックを抱えていました。
彼らは父の遺品だけではなく、コルセットや赤ちゃん、失恋とそれぞれが重荷を背負っている状況なのでした。
そんな彼からのインド旅行の真の目的は母親に会いに行くことでした。
父の葬儀にも参列せず、失踪状態だった母親がインドの修道院にいるということを知り会いに行きます。
母には会えるのですが「この土地には自分を必要としている人々がいる。この美しい場所を楽しみなさい」」とメッセージを残し子供たちの前から姿を消してしまいます。
この事がきっかけで吹っ切れた三兄弟は列車での新しい旅を始めます。
ここで映画は終わるのですが、列車に飛び乗るシーンがまたなんとも印象的。
またもや寸前で発車してしまった列車を走って追いかけるのですが、抱えていた父のスーツケースは重すぎてあきらめるしかないと投げ捨ててながらホームを走り列車に飛び乗るのです。
このシーンのためにこの映画があるのではないかと思わするぐらい爽快なシーンになっています。
過去を捨てるというより清算したというほうが正しいでしょうか、エンディング曲の「オー・シャンゼリゼ」が人生を謳歌する素晴らしさを思わせます。
それでも家族の絆は消えない
父のベルトを長男のフランシスがピーターの生まれてくる子供にと渡します。
束縛の象徴としてあったベルトが次は家族を繋ぐものとしての役割を果たします。
なかなか粋な演出ですよね。
なぜキンクスが流れるのか?
劇中歌でイギリスのロックバンド「キンクス」の楽曲がいくつか流れます。
「this time tomorrow」「Strangers」「Powerman」の3曲ですが物語にあった楽曲というだけではなく、このバンドは兄弟で組まれたバンドで、しかもめちゃくちゃ仲が悪いのです。
知ってる人はクスッと笑える選曲でした。
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