はじめに
皆さん、ジョン・ナッシュという数学者をご存じですか?
1994年にノーベル経済学賞を受賞した天才数学者です。
今回はそんな彼の半生を描いた映画「ビューティ・フルマインド」です。
史実との違いや彼の研究テーマであったゲーム理論がどういったものなのかを解説していきたいと思います。
一度見たことのある方もこの記事を読んでもう一度視聴してみてはいかがでしょうか?
ビューティフル・マインド
2001年製作/136分/アメリカ
原題:A Beautiful Mind
配給:UIP映画
あらすじ
1947年。ジョン・ナッシュはプリンストン大学院の数学科に入学する。彼は「この世の全てを支配できる理論を見つけ出したい」という願いを果たすため、一人研究に没頭していくのだった。そんな彼の研究はついに実を結び、「ゲーム理論」という画期的な理論を発見する。
やがて、その類いまれな頭脳を認められたジョンは、MITのウィーラー研究所と言われる軍事施設に採用され、愛する女性アリシアと結婚する。政府組織は敵国であるロシアの通信暗号解読を彼に強要し、その極秘任務の重圧に彼の精神は次第に追い詰められていく。
スタッフ・キャスト
監督:ロン・ハワード
脚本:アキヴァ・ゴールズマン
原作:シルヴィア・ネイサー
出演者:ラッセル・クロウ
エド・ハリス
ジェニファー・コネリー
ポール・ベタニー
アダム・ゴールドバーグ
ジャド・ハーシュ
ジョシュ・ルーカス
アンソニー・ラップ
クリストファー・プラマー
ビューティフル・マインド 解説
ラッセルクローが爽やかな大学生から老後までを演じきっています。
以前投稿した映画「アオラレ」のラッセルからは考えられないほど別人です。
さすが役者だなと感心します。
ストーリーも感動的で親友だと思っていた人物は実は幻覚だったというスリリングな展開でとても面白い映画となっているのですが、全部が実話というわけではなくいろいろ脚色されています。事実を曲げているわけではなく映画としてうまくできた作りになっています。さすがアカデミー賞で脚色賞を受賞するだけのことがあります。
映画と実話との違いは?
では、実話とどの辺が違うのでしょうか?
いくつか相違点があるそうで列挙すると、
- 幻覚を見だしたのは大学院のころからではなく30歳ごろ
- 妻アリシアとは1963年に一度離婚している
伝記から描かれていない点もいくつかあるようですが相違している主な点は以上の2つでしょう。
ただアリシアとは最後まで良好な関係でいたそうで、のちに再婚までしています。
さほど大幅な変更というわけでないですね。
しかし映画撮影の上で実際の出来事やジョン・ナッシュ自身も大きく関わっており、
教室の黒板に書かれた方程式はジョン・ナッシュによって実際に書かれたものだったりします。
さらに、ラッセル・クロウは実際にジョン・ナッシュにあった時のエピソードを役作りや演出に生かしています。
ジョン・ナッシュの手の動きやしぐさに魅了されたラッセル・クロウは演技でも同じことをしようと考えたそうです。
また、
映画終盤でお茶を飲もうか考えているシーンは、ラッセル・クロウがジョン・ナッシュに実際にあった時、ジョンがお茶とコーヒーどちらを飲もうか15分悩んでいたことからできたシーンだそうです。
そして、本作は大学生から中年までと人生の半分以上を時系列で描いているためより役者が役作りしやすいようにほぼ順撮りで撮影されました。
こういった細かいディテールのこだわりが映画の完成度を高めていると言う事がよくわかるエピソードでしたね。
ジョン・ナッシュとはどんな人物だったのか
画像引用:ジョン・ナッシュ - Wikipedia
1928年6月13日アメリカ、ウェストヴァージニア州ブルーフィールドにて、電気技術者の父と、英語及びラテン語の教師であった母の間に生まれました。団体行動より単独行動を好み自分の考えた方法で行うことを好む少年だったそうです。
ざっくりいうと協調性がない子供だったみたいですね。そのエピソードだけでいかにも天才肌に思えますが、家族や周りも天才なのではと気づいていたそうです。
のちに統合失調症を患うとされていますが、その素質は持ち合わせていたのかもしれません。
自分の研究第一で仕事に打ち込み(この描写は映画にもありました)家族や子供のことには全く関心がなく、人の気持ちが全く理解できない人間だったそうです。
ですが、統合失調症がよくなってくるにつれて自己中心的な考えから相手を思いやれるように変化していったそうです。
統合失調症とは
統合失調症は、考えや気持ちがまとまらなくなる状態が続く精神疾患で、その原因は脳の機能にあると考えられています。
約100 人に1 人がかかるといわれており、決して特殊な病気ではありません。
思春期から40歳くらいまでに発病しやすい病気です。
映画内でも描かれていたように、妄想や幻聴、思考が混乱するなどの陽性症状と喜怒哀楽の感情表現が乏しくなったり意欲が欠場してしまうなどの陰性症状。そして、記憶力の低下や注意力、判断力が低下するなどの認知機能障害に分けられるといいます。
ジョンナッシュの症状は陽性症状に当てはまると言えますね。
薬物療法などがメインの治療になるそうですがやはり、家族や周りのサポートが一番重要だそうで、献身的に支えたアリシアの愛情がナッシュの症状を回復に向かわせたのかもしれません。
ゲーム理論とは
社会や自然界における複数主体が関わる意思決定の問題や行動の相互依存的状況を数学的なモデルを用いて研究する学問
例えば職場の問題解決において、社長や役員、社員やパート全員をプレイヤーとみなしどのような行動をとるのかを分析する理論です。
その中でもジョンナッシュが提唱したナッシュ均衡とは、全てのプレイヤーが、一定のルールのもと、自分の利得が最大となる最適な戦略を選択し合っている状態のことをいいます。
ビューティフル・マインドの意味を考える
統合失調症とは完全に回復することはなく、慢性・寛解期といって病状前の状態に戻ることを回復とするそうです。なのでストレスや体調不良などによっていつでも再発する可能性があるそうです。
タイトルである「ビューティフル・マインド」は訳すと「美しい心」となります。
回復に向かうにつれ人を「思いやる大切さ」に気づいたジョン・ナッシュの心。
また、ゲーム理論のように幸せな生活を取り戻すために支えてくれた妻や友人、そして自分自身全員が報われるように行動した彼らの心こそが、このタイトルの意味なのかもしれませんね。
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