【SF映画】13F(The Thirteenth Floor)レビュー 私たちの世界は誰かのシュミレーションかもしれない
はじめに
2021年12月17日にマトリックスシリーズの新作「マトリックスレザレクションズ」が公開されます。
まさかマトリックスが再び製作されるとは思ってもいなく、SFファンとしてとても楽しみしています。
映画「マトリックス」は機械が作り上げた仮想現実世界で繰り広げられるSFアクションでした。
今回ご紹介する映画はそんな「マトリックス」のような世界観の映画でございます。
13F(The Thirteenth Floor)
あらすじ
コンピュータ・ソフトの開発者ホールは、ヴァーチャル・リアリティの技術を使ってコンピュータ内に1937年のロサンゼルスを再現しようとしていた。だが上司が何者かに殺される事件が起こり、ホールが容疑者となってしまった。アリバイが無いどころか、犯行時間の記憶自体失っているホールは、突然の事態にパニックとなる。やがて彼は、研究の過程で1937年の仮想世界と現実世界を行き来していたことを知る。その鍵を握るのは“13階”……。
スタッフ・キャスト
監督:ジョゼフ・ラスナック
脚本:ジョゼフ・ラスナック
ラベル・センテノ=ロドリゲス
原作:ダニエル・ガロイ
製作:ローランド・エメリッヒ
出演:クレイグ・ビアーコ
13F(The Thirteenth Floor)レビュー
原作はダニエル・ガロイの小説「Simulacron-3(邦題:模造世界)」で1964年の小説というから驚きです。
1964年といえば東京オリンピックの開催年でその時代のPCといえばトランジスタからICが登場するぐらいの年で、今みたいなGUIではなく文字だけのCUIでの操作でここまでの想像ができるのは本当に凄いです。またそれが現実味を帯びているところも知的好奇心を擽ります。
シュミレーション仮設とは
映画を観る前に予備知識として知っておいたほうがいい事があります。
映画の内容もすんなり理解できると思います。
それは、「シュミレーション仮設」という言葉です。
シミュレーション仮説(シミュレーションかせつ)とは、人類が生活しているこの世界は、すべてシミュレーテッドリアリティであるとする仮説のこと。シミュレーション理論と呼ぶ場合もある。
哲学者のニック・ボストロムが提唱した説で、我々人類が現実だと思っている世界は、何らかの文明によってシュミレーションされたものである可能性があるというもので、トンデモ論に聞こえるかもしれませんが、それを完全否定する確実な証拠もないというのが実際のところです。
テスラやスペースXのイーロンマスクも過去のインタビューで「人類はコンピューター・シミュレーションの中で生きている」と発言しています。
オープンワールドゲーム好きにおススメ
この映画の面白いところはネタバレになってしまうので、まずは初見で驚いてほしいというのが率直な願いです。
ですが、言えることとしてGTAシリーズやシムシティ、龍が如くシリーズなどオープンワールドゲーム(箱庭ゲーム)が好きな方は絶対楽しめるということです。
映画を観てると、
「あ~こういう場面ゲームでもあるよな」ってなシーンが出てくるからです。
また、30年代のロサンゼルスが舞台ということで、このゲームの中の主人公を操作するということはまさしくこの映画で行っていることと同じなのではないでしょうか?
この映画、考えれば考えるほどいろいろな想像ができ、知的好奇心を擽られる良作です。
マトリックスレザレクション公開前に復習としてマトリックス3作見直す時、この作品も観てみてはいかがでしょうか?
私はこの映画U-NEXTで視聴しました。
まだ未登録の方も無料トライアルで30日間無料で視聴可能です。
マトリックスシリーズも見放題なのでぜひこの機会に下のボタンからご視聴ください。
シュミレーションといえばこの小説もおススメです。
仮想現実のゲーム空間で現実と仮想の区別がつかなくなる男の物語で、
過去にMGSシリーズやデスストランディングの 小島秀夫監督もおススメしておりました。
アナザーラウンド レビュー 人生に祝杯を!
はじめに
皆さんは人生を謳歌していますか?
山あり 谷ありの人生で、その人生を楽しむためには時に一歩踏み出す勇気が必要なときがあります。
そんな時、お酒の力を借りて普段言えないとこを言ってみたりだとか、
お酒の力を借りて普段しそうにない行動をしてみたりだとか・・・
今回ご紹介する映画「アナザーラウンド」はそんな映画でございました。
ちなみに前回の記事で紹介した映画「ギルティ」と同じくオランダの作品となります。
will-oishiiseikatsu.hatenablog.com
オランダ映画というジャンル来てるかもしれませんね。
アナザーラウンド(原題:Druk)-2021年オランダ-
あらすじ
冴えない高校教師のマーティンと3人の同僚は、ノルウェー人の哲学者が提唱した「血中アルコール濃度を一定に保つと仕事の効率が良くなり想像力がみなぎる」という理論を証明するため、実験をすることに。朝から酒を飲み続け、常に酔った状態を保つと授業も楽しくなり、生き生きとするマーティンたち。生徒たちとの関係も良好になり、人生は良い方向に向かっていくと思われた。しかし、実験が進むにつれて次第に制御がきかなくなり……。
スタッフ・キャスト
監督:トマス・ヴィンターベア
脚本:トマス・ヴィンターベア
トビアス・リンホルム
出演:マッツ・ミケルセン
トマス・ボ・ラーセン
マグナス・ミラン
ラース・ランゼ
アナザーラウンド レビュー
皆さん大好き”北欧の至宝”ことマッツ・ミケルセン主演映画でございます。
日本では9月からの公開でしたが私の住む地方では10月に入ってようやく劇場公開ということでさっそく観てきました。
トマス・ヴィンターベア監督とマッツ・ミケルセンのタッグは映画「偽りなきもの」2013年の作品以来となります。
しかし、今回の作品はそういった作品ではなく見終わった後にすっきりと終る大変清々しいラストでした。
酒はオランダ人にとって文化的にとても重要なものです。
もともと我々日本人と違ってアルコールに強いという体質もあるのですが、16.5%未満の種類なら16歳から店頭で購入可能で、家で飲む分には16歳以下でも法律違反ではないということで、マッツも13歳から飲み始めていたそうです。
ですが近年のポリコレの流れによるモラル上昇は大酒のみのオランダ人にとって表層的な部分だけの批判なのではないかという監督の疑問からこの映画の構想を得たと監督は語っています。
ですが、単に飲酒を肯定するだけの映画に留まっていないのがこの映画の凄味で各映画賞にノミネートする所以なのではないでしょうか。
自分はすぐに酔っぱらう体質なので浴びるように飲んでフラフラになったり記憶をなくしたりという経験がないのですが、主人公たちに感情移入できます。皆さんも同じように感情移入できるはずです。
仕事や自分のキャリアプランについてや家族との関係など人生において悩みや困難、悲しみは同じように我々の身に降りかかってきます。
どうやって自分の人生を切り開いていくのか。
そのひとつの答えを教えてくれるのがこの映画なのです。
人生を好転させるためにはまず、この人生を楽しむことから。
映画最後のメッセージ
映画の最後、「アイダに捧ぐ」のメッセージで終わります。
実は監督トマス・ヴィンターベアの愛娘アイダのことで、撮影の4日後に交通事故で亡くしてしまいました。この映画にもマッツの娘役で出演予定でした。
そんな悲しみの中監督はこの映画を完成させたそうです。
苦悩を乗り越えた監督の思いが詰まった作品にもなっているのかと思うととても感慨深いですね。
劇中にも登場するビール「カールスバーグ」はマッツもCMに出演しているデンマークのビールです。
映画ラストに流れるスカーレット・プレジャーの「What A Life」
ボーカルのエミルはマッツの娘さんの同級生だそうです。
THE GUILTY ギルティ(2018)緊張感MAXのコールセンター
はじめに
前回、映画「サーチ」を紹介しました。
will-oishiiseikatsu.hatenablog.com
PCのデスクトップ上で繰り広げられるミステリー/推理モノ映画です。
クローズアップしたりぐらいしかカメラワークがないのにとてもスリリングな映画でした。
そして、今回紹介する映画は、緊急指令室(オペレーター室)だけで繰り広げられるスリラー映画になります。
通話相手の顔も出ず視聴者は想像でその状況や人物像を想像しなければいけないのですが、それがこの映画の魅力となっています。
なぜ魅力なのかお伝えしたいと思います。↓
映画「THE GUILTY ギルティ(2018)」
スタッフ・キャスト
監督・脚本:グスタフ・モーラー
本作がなんと長編映画デビュー作だそうです。
出演: ヤコブ・セーダーグレン
イェシカ・ディナウエ
ヨハン・オルセン
あらすじ
過去のある事件をきっかけに警察官として一線を退いたアスガーは、いまは緊急通報指令室のオペレーターとして、交通事故の搬送を遠隔手配するなど、電話越しに小さな事件に応対する日々を送っている。そんなある日、アスガーは、今まさに誘拐されているという女性からの通報を受ける。車の発進音や女性の声、そして犯人の息づかいなど、電話から聞こえるかすかな音だけを頼りに、アスガーは事件に対処しなければならず……。
ギルティ レビュー
この映画見終わった後に思い出したのは、「十二人の怒れる男」でした。
will-oishiiseikatsu.hatenablog.com
「十二人の怒れる男」も陪審員たちの会話劇と密室で事件に対してあらゆる想像を膨らませて観客自身、こんなシーンあったよねと、でも本当はそんなシーンなく会話だけなのに想像を膨らませあたかも実際に見ていたかのような錯覚を受ける映画でした。
この「ギルティ」もそんな映画になっています。
自分のイメージは、
夜、閑静な住宅街。パトカーのランプがアスファルトと家を赤と青に照らす。
こんなイメージが残っています。
でもそんなシーンは一切でできません。
2回目を見直してみると少し青みがかったルックでPC画面やブラインドが下りた窓が青っぽく光っていたり通話中を知らせる赤色灯など意図的に色彩されているなと感じます。
1回目の視聴時は気にならなかったというか話に集中していて気付かなかったのですが2回目余裕をもって視聴すると新たな発見があって面白いですね。
そしてなぜこんなにも想像を掻き立てられるかというと、このコールセンターという業務の性質が一番の理由だと思います。
電話だと会話だけで状況を把握しなければいけなので、詳しく話し相手にヒアリングする必要があります。
このヒアリングが観客にあたかもその場面を観ているかのように想像させるるのです。
余談ですが、緊急を要している相手に冷静かつ的確に状況をヒアリングする様はかなり勉強になります(笑)
自動車事故対応のコールセンターの方とかがこの映画を観るとかなり共感できるんじゃないでしょうか。
そして、会話を聞く主人公の表情がとても秀逸です。
目線の移動と手の動きだけで焦りや緊張感を伝えています。
かなりの演技派です。
主演のヤコブ・セーダーグレンのほかの作品も気になりますね。
THE GUILTY ギルティを無料視聴する
皆さん、ここまで読んでいただいてありがとうございます。
はてして映画ギルティに興味が湧いてきましたか?
私はギルティをアマゾンのプライムビデオで視聴しました。
プライム会員であればどなたでも視聴できます。
字幕版、吹き替え版両方配信中ですので是非どうぞ。